■呼吸の基本はまず吐くこと

われわれが最初に出会った呼吸法は、おそらくラジオ体操でおなじみの「深呼吸」でしょう。「呼吸」とは読んで字のごとく、「吐く(呼)」が先で、「吸う」が後です。「は~っ」と思い切って息を吐いてみてください。そうすると、そのあとには自然と空気が肺の中に入ってきて、深くたくさん空気を吸えるはずです。日本の古武道でも、呼吸法のことを息吹(いぶき)と呼び、吐くことを重視します。吐くことで汚れが清められ、神の気(息吹)を迎え入れられると考えられていたからです。気の出入り口が滞ると気枯れ(ケガレ)るとも考えられ、吐くことを中心に呼吸が考えられています。

 

■呼吸の歴史

呼吸は、私たちにとってあまりにも当たり前で、大部分の人は“私はちゃんと呼吸をしている”と思っていることでしょう。昔の人は腹筋を使って、よく歩き、よく走り、よく動き回り、物を持ち上げるというのが日常でした。このような生活様式への何千年何万年という順応の結果、人間の身体はそのような生活で必要とされる酸素量で効率的に機能するように、遺伝的にプログラミングされています。元来、呼吸は腹筋をしっかりと使って行うべきものですが、現代の日常生活では、腰や腹に力を入れることが減ったため、浅く落ちつきの無い呼吸をしている人が大部分になってしまいました。現代人の生活様式では、昔行っていた動きの50%が除かれてしまっているため、慢性的な酸素不足に陥っています。私たちの筋肉細胞、脳細胞、神経細胞は酸素を必要としますが、今や、このもっとも重要な酸素の慢性的な不足の中で機能するよう強いられています。病気は、突き詰めていけば細胞が正常な働きをしていない状態であるといえます。精神的な問題に対しても、脳細胞が正常に働いていなければなりません。これらの細胞が正常であるためには、第一に生命の源である酸素が重要です。

■ 正しい呼吸法の必要性

脳は、私たちの身体の中で、とても大切な働きをしています。その時脳では大量の酸素が消費されます。人が酸欠状態になった時、はじめにダメージを受けるのは脳であり、人が病気になる原因は脳細胞の酸素の欠乏にあると言われています。生活でのストレスや不安により脳は大量の酸素を消費します。それにより脳内の酸素が不足すると脳の正常な働きが低下し、ホルモンや酵素が正常に作られなくなり、続いて消化機能や内蔵機能、神経機能などのバランスがくずれ、様々な病気になるのです。そのため、正しい呼吸法により、生命活動に十分必要な量の酸素を脳に供給し、活性化することが非常に有効だと考えられます。酸素が十分にあれば、脳からの指令が身体の各部位に正常に伝わり、それぞれの内臓はきちんと機能することができ、健康増進が出来るでしょう。呼吸には自律神経をコントロールする働きもあるため、浅いと不要感が強まったり内臓が弱まり病気になることもあります。呼吸と脳と病気には深い関わりがあります。

 

■ 胸式呼吸と腹式呼吸

胸式呼吸: 肋骨の間の筋肉を伸び縮みさせて、肺を広げたり縮めたりして空気を出し入れする呼吸です。

腹式呼吸: 肺の下の横隔膜を上下運動により、空気を出し入れする呼吸です。

スポーツレクリエーション吹き矢

 

胸式呼吸では、肋骨があるため、筋肉はそれほど大きく伸び縮みすることができません。それに対して腹式呼吸では、横隔膜を大きく上下させることができるため、より多くの酸素を肺の底まで吸い込むことができます。さらに、肺の底に残っている汚れた空気を入れ替えることもできます。あわせて内臓のストレッチにもなります。

 

■ 腹式呼吸の基本


吸うときは鼻から、吐くときは口で

*口のみでおこなう口呼吸は現代人に増えています。その結果、精神不安定や判断力の低下につながると言われています。

吐くことから始める
吐けば吸えるわけですから、呼吸は悪い空気(二酸化炭素など)を出してから吸うことになります。


呼吸としては吐いてから吸う

・口をつぼめて フッフッフッ と吐き フー と息を吐く
・鼻からおもいきり空気を吸う
*割合は2:1でおこなう(6秒対3秒)

■ 腹式呼吸と胸式呼吸の違い

 

  腹 式 呼 吸 胸 式 呼 吸
呼吸メカニズム 横隔膜の上下動 胸郭の収縮運動
呼吸の方向性 前後動 上下動
重心の移動 下腹部に安定 上下動
換気量
排気 腹筋を締め最大の力 腹筋が緩み力抜ける
吸気 下半身の安定 上半身が力む
血圧 下がる方向で安定 上がる
脈拍 下がる方向で安定 上がる
神経への作用 副交感神経を刺激 交感神経を刺激
肺活量に対する効率 最大の排気が得られ高い換気効率横隔膜上下動5~7cm 吸・排気が入り乱れ換気効率が悪い過呼吸を誘因

一般社団法人日本吹矢レクリエーション協会 元気なセカンドライフ編集長

河西 信祐日本吹矢レクリエーション協会会長 元気なセカンドライフ編集長Twitter:@fukiyarecblog
1945年生まれ。建築関係の職場に18年勤務し、退職後、2000年の福祉用具貸与事業開始と同時に、福祉住環境コーディネーター、福祉用具専門相談員などの資格を取得し、知人の一級建築士と株式会社UCMを設立。これからの長寿社会では高齢者の一人ひとりの健康維持と、生き生きとした生活を送るためのコミュニティが必要だと思い、誰もが参加でき、簡単で楽しく健康効果のあるレクリエーションとして、2004年に日本吹矢レクリエーション協会を設立。現在、北海道から沖縄までサークル、団体などで、多数の吹き矢レクリエーション会員が所属。